下肢静脈瘤は、足の静脈が太くなることで血管がこぶ状・蛇行状に浮き出て見えるようになっている状態のことです。現在、40代以上の10人に1人は下肢静脈瘤になる可能性があると言われており、比較的女性に多く見られるものですが、特に妊娠・出産を経験した人、中高年層、肥満気味の人に多いと言われています。また、立ち仕事に従事する人や遺伝的な要因もあることが特徴的です。

主な症状としては、足のだるさやむくみが出現します。さらに、放置すると皮膚の色素沈着や潰瘍を形成するため、原因となる血管を取り除き、コブを摘出する手術が必要となります。

下肢静脈瘤は、「外科的な治療が必要な可能性のあるもの」と「治療する必要がないもの」に分けることができます。

①外科的な治療の可能性がある「伏在型静脈瘤」

このタイプは、ボコボコと大きい静脈瘤が目立ったり、足のだるさやむくみなどの症状がおこり、重症化することで外科的な治療が必要になる可能性が高いと言われています。

「大伏在静脈瘤」と「小伏在静脈瘤」の二つがありますが、最も多いのは「大伏在静脈瘤」で、足の付け根の「静脈弁」という部分が壊れてしまい、膝の内側にコブが目立ちます。

②「くもの巣状・網目状静脈瘤」

このタイプは、太ももの外側や膝の内側にコブができやすいタイプです。一般的な症状はなく、重症化することがないので、基本的には治療の必要がありません。

ただし、見た目などが気になる場合にはレーザー治療を行うことが可能です。

③合併症を引き起こす可能性もある

下肢静脈瘤は、自然治癒することはありません。時間の経過と共に悪化していきますが、重症化するといろいろな合併症を引き起こします。

そのうちの一つは「うっ滞性皮膚炎」です。命に関わるような病気ではないものの、下肢静脈瘤の回復が長引いたり、跡が残ってしまう可能性があるため、こういった症状が起こる前に治療するようにしましょう。

下肢静脈瘤には、様々な治療法があります。手術に限らず内服薬などを使う方法もありますので、症状や患者さんのニーズに合わせて、最適な方法を提案してもらいましょう。

①弾性ストッキングの着用

ストッキングを着用することで、静脈還流を促し、足に血液が溜まらないようにするものです。足首から段階的に圧力が弱くなっているため、心臓に向かって血流が流れるように設計されています。

②硬化療法

静脈瘤に薬を注射して固める治療法です。硬くなった静脈は半年ほどの時間をかけて吸収されて消えます。軽度の場合には有効ですが、症状が進行している場合にはあまり効果が期待できない可能性があります。最近では、硬化剤と空気を混ぜて泡状にする方法が行われるようになっており、治療の範囲も広がっていますので、お医者さんと相談しながら治療法を選びましょう。

③ストリッピング手術

足の付け根と膝の内側を少しだけ切開し、静脈の中に細いワイヤーを入れてワイヤーごと静脈を抜く手術です。

最近では日帰りで行える病院やクリニックが増えており、当院でも行うことができます。ただし、他の治療に比べると体への負担が大きいため、回復までの時間がかかったり痛みや出血などのリスクがあるため、しっかり相談して決めましょう。

まずはご相談ください

当院では、日帰りによる「ストリッピング手術」を行うことが可能です。それ以外にも、患者様のニーズや症状に合わせて最適な治療をご提案します。

少しでも悩む場合には、お近くの病院やクリニックで相談して、医師と一緒に考えていくのが良いでしょう。