現代の日本において、成人の5人に1人がかかっていると言われる病気をご存じでしょうか。
その病気とは、過敏性腸症候群というものです。

過敏性腸症候群は、大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称です。

胃の調子が悪い、お腹を壊していると思い検査をしても、これという原因や病気が見つからない…。
そういった人は、過敏性腸症候群なのかもしれません。

過敏性腸症候群は、ウイルスや細菌感染の胃腸炎とは違います。
精神的ストレスなどの刺激に対して腸が過敏な状態になってしまうことで、慢性的な下痢や便秘などの症状が繰り返し起こります。

ストレス社会と言われる日本では、今後も急増していく病気となるでしょう。

過敏性腸症候群の原因と3つの症状

過敏性腸症候群の主な原因は、ストレスです。
仕事のストレス、人間関係のストレス、金銭的なストレス…言い出すとキリがないほど、現代人は多くのストレスを抱えています。

ストレスを心の中にため込んでしまうと、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
それによって排便を司る機能に支障が出てしまい、やがて過敏性腸症候群を引き起こすと言われています。

そんな過敏性腸症候群には大きく分けて3つの症状パターンがあります。

一つ目は、神経性下痢という症状です。

激しい腹痛、粘液性の下痢便が続きます。
朝、お腹が痛くて起きる…。
電車の中で我慢できないほどの便意をもよおす…など、よく聞く過敏性腸症候群の症状が出ることが特徴です。

二つ目はけいれん性便秘というものです。

腹痛を伴いますが下痢はなく、コロコロした便が出ることが特徴です。

そして最後が交代性便通異常という症状です。
交代性便通異常の人は、下痢と便秘を繰り返します。
また、食欲不振や腹部の膨満感、頭痛などを伴う場合もあります。

内視鏡を使った検査でからだの状態をきちんと調べます

過敏性腸症候群で見られる症状は、胃や腸の病気でよくあるものばかりです。

そのため、症状だけで過敏性腸症候群と言い切ることはできません。
まずは確定診断のために、大腸がんなどの悪性疾患、炎症性腸疾患がないかを調べる必要があります。

大きな病気が懸念される症状がある方、50歳以上の患者さん、過去に大腸の病気をしている方、家族にそういった病気の方がいる場合などは、大腸内視鏡検査を行います。

検査に際して、今どのような症状で困っているかを詳しくお聞かせください。

また、症状に応じて腹部超音波検査、腹部CT検査などを追加するなど、患者さんのからだに大きな病気が隠れていないかをチェックしながら、過敏性腸症候群の確定を行っていきますので、まずは一緒に検査を頑張っていきましょう。

過敏性腸症候群の改善・治療方法はある？

過敏性腸症候群を改善するためには、とにかく生活習慣を改善することが必要です。

栄養バランスの取れた食事を一日三回きちんと摂ることを心がけてください。
暴飲暴食や頻繁な外食は、からだに負担をかけてしまいます。

できる限りストレスを溜めないこと、睡眠や休息の時間をきちんと作ることも重要です。
お仕事などやむを得ない状況もあると思いますが、可能な限りリラックスできる時間を増やすようにしましょう。

生活習慣を見直しても症状が緩和されない場合は、お薬を用いた治療を行います。

下痢型の患者さんには、腸のはたらきを改善させるものを、便秘型の方には便を柔らかくする薬を使うなど、その方の症状に合わせて必要な処方をいたします。

ストレスはからだにいろいろな負担をかけてしまいます

胃潰瘍も十二指腸潰瘍も、そして過敏性腸症候群も、すべてに関係するのがストレスです。
ストレスは目に見えませんが、蓄積すると確実にからだを壊してしまう恐ろしい存在です。

現代人は、知らず知らずのうちに大きなストレスを抱えてしまっていると言われています。
100％ストレスのない生活は無理かもしれませんが、少しずつでも発散してリフレッシュすることも意識していきましょうね。

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