肛門の病気である痔は、どうしても「恥ずかしい」気持ちがあってなかなか受診せず、辛いのを我慢して過ごしていらっしゃる方が多くいます。
当院では、プライバシーに配慮し診察を進めます。
初心では、問診票に記載いただくことで、口頭で症状を説明しなくてもいいようになっているので、お気軽にご相談ください。

痔とは

痔とは

痔とは、肛門の病気の総称をいいます。
なかでも良く知られているのが、「痔核(いぼ痔)」「きれ痔(裂肛)」「痔ろう」の3タイプです。
肛門からの出血や痛みで、痔に気が付く方もいらっしゃいますが、実はそれらの症状には痔以外の重い病気のサインが隠れていることもあるため、自己判断は禁物です。

痔になりやすい人・原因

  • 便秘気味の方
  • 妊娠中、もしくは出産後の方
  • 長時間のデスクワークが多い方
  • 喫煙や飲酒の習慣がある方

痔の種類

痔の種類には「痔核」「裂肛」「痔ろう」の3タイプがあります。
最も多いのが「痔核」で患者さんの5〜6割を占めます。「裂肛」「痔ろう」はそれぞれ1〜2割程度です。

 

痔核とは

痔核とは

肛門の粘膜の下には、血管が集まったクッションと呼ばれる肛門を閉じる働きをする部分があります。
便秘で排便する時にいきんだり、長時間の座る・立つといった姿勢を続けたりすることで肛門への負担が重なると、クッションを支える組織が引き伸ばされ、クッション部分が腫れ、出血したり肛門の外に出たりするようになります。
これが痔核(いぼ痔)です。

痔核には、直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核があります。
また、内痔核が大きくなると、外痔核を伴って内外痔核という状態になることもあるのです。

内痔核

歯状線より直腸側にできた痔核のこと。
この部分は自律神経が支配する直腸粘膜の領域なので、通常痛みは感じません。
出血や、痔核の肛門からの脱出(脱肛)により気付くことが多く、排使時のいきみが原因となる場合がほとんどです。
内痔核は症状の進行度合いにより次の4段階に分けられます。

I度

I度

排便時に出血するが、痛みはない。
出血はトイレットペーパーにつく程度から、血がシューッとほとばしる場合まである。

Ⅱ度

Ⅱ度

排便時に脱出するが、排便後は自然に戻る。
痛みが出てくる。
また、残便感が残るのも特徴。

Ⅲ度

Ⅲ度

排便時に脱出し、指で押さえないと戻らない。
重いものをもった拍子に脱出してしまうケースもある。

Ⅳ度

Ⅳ度

排便に関係なく常に脱出して戻らない。
痔核が常に肛門の外に出たままで、指などで押し込んでも戻すことができない状態。
また、脱出した痔核が肛門括約筋で締め付けられて膨張し、中に著しい血栓を生じた状態を「嵌頓(かんとん)痔核」といい、激しい痛みに襲われる。

外痔核

外痔核

力仕事やスポーツなどで急に力を入れることで、歯状線よリ外側の肛門上皮部の静脈がうっ血してできた血栓が「外痔核」。
この部分は皮虜と同じ組織で体性神経領域のため、激しい痛みを伴うケースが多いです。
血栓が肛門括約筋で締め付けられると痛みはさらに増します。

食物繊維が豊富な食事を増やして便を柔らかくする、皮膚用軟膏を塗ることなどによって、普通は1週間程度で痛みが和らぎ、腫れも1カ月ほどでひきますが、痛みが激しい場合には血栓を除去します。
「肛門から出血し、腫れて痛む」「急激な肛門の痛みと、肛門の出口にいぼができた」といった症状があれば外痔核の可能性があります。

裂肛

硬い便によって肛門付近が切れたり裂けたりするもの。男性よりも女性に多い症状です。
出血は紙につく程度ですが、激しい痛みを伴うために排便を我慢して便秘になり、さらに症状を悪化させるという悪循環になりがちです。

痔ろう

肛門の周囲が細菌に感染して炎癒を起こし、膿を出す「ろう管」という道すじができるもの。
熱が出たり、肛門周辺の痛みが出たりします。
若年から中年、特に男性に多い傾向にあり、治療には手術が必要となります。

痔の治療 ~ジオン注射~

ジオン注射による治療とは

ジオン注射による治療とは

「脱出を伴う内痔核」にジオン注を投与して痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。
痔核を切り取る手術と違って、痔核の痛みを感じない部分に注射するので「傷口から出血する」「傷口が痛む」というようなことはなく、入院期間の短縮も期待できます。
お忙しい方は日帰り治療も可能。
この治療法は、日本大腸肛門病学会の会員で講習を受け認定された医師のみが使用できます。

ジオン注とはどんな薬?

ジオン注の有効成分は、出欠症状や脱出症状を改善する「硫酸アルミニウムカリウム水和物」と、硫酸アルミニウムカリウム水和物の働きを調整する「タンニン酸」というものです。
有効成分の頭文字からALTA(アルタ)とも呼ばれます。

※Aluminum Potassium Sulfate Hydrate・Tannic Acid

ジオン注はどのように投与するの?

ジオン注を投与する前に肛門周囲への麻酔か、下半身だけに効く麻酔を行い肛門周囲の筋肉を緩め注射しやすくします。
麻酔法については医師にご確認ください。

ジオン注はひとつの痔核に対して4カ所に分割して投与します。
これは痔核に薬液を十分に浸透させるための方法で、四段階注射法といいます。
複数の痔核がある場合には、それぞれに投与します。
投与後しばらく点滴を続け、麻酔の影響がなくなるまで安静にする必要があります。

ジオン注を投与するとどうなるの?

痔の治療 ~ジオン注射~

投与後の旱い時期に痔核へ流れ込む血液の量が減り出血が止まり、脱出の程度も軽くなります。
投与した部分が次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織が元の位置に癒着・固定。
1週間~1カ月ほどで脱出がみられなくなり、脱出や肛門まわりの腫れがなくなります。

ジオン注を投与するとどうなるの?

日帰り治療 1万6千円程度(3割負担の方の目安)
1泊入院 2万円程度(3割負担の方の目安)

痔の手術

手術は内痔核Ⅲ度以上の場合か、薬物療法を2〜3カ月行っても症状改善が見られない場合に行います。
代表的な手術法の「結紮(けっさつ)切除法」のほか、超音波やレーザーで痔核を切除する方法や、ゴム輪で痔核の根元を縛って血流を止めて痔核を壊死させる方法などもあります。
ここでは、「結紮切除法」を紹介します。

結紮切除法(半閉鎖法)

内痔核の手術法としてもっともポピュラーな方法。
痔核に流れ込む動脈を糸で縛って血流を遮断し、痔核を切除するものです。
痔核を切除した後の患部の状況に合わせて縫合しない場合や、肛門の外側を残して中の傷を縫い合わせる「半閉鎖法」があります。

1カ所5分程度と、手術が短時間で済むなどのメリットがありますが、反面、術後の痛みは少ないもののゼロではありません。
排便時の出血があることもあり、1~7日程度の入院が必要になります。

手術の流れ

step01

STEP01

痔核をはがしとるようにして切除していく

step02

STEP02

痔核に血液を供給している血管を縛り、痔核を切除する

step03

STEP03

切除したあとの傷を、肛門の外側を残して縫いあわせる

手術を避けるためにも、日ごろから食事など生活習慣に注意し、肛門に負担をかける便秘や下痢などを起こさないように心がけることが大切です。

痔の手術費用

1泊入院 2万円程度(3割負担の方の目安)
1週間入院 6万円程度(3割負担の方の目安)

痔に間違われやすい病気

おしりから血が!…「痔かな?」。
でも自己判断は禁物。
出血などの症状には、痔ではなくもっと重い病気のサインが隠れていることもあります。
下痢や腹痛など、症状がありふれているために、重大な病気を見過ごしてしまうこともあります。
早めに専門医に相談することが大切です。

大腸がん

痔ともっとも間違いやすい病気は大腸がんです。
症状は便に血が混じる、便秘や下痢を繰り返す、残便感がある…など。
原因は、高タンパク・高脂肪・低食物繊維という欧米型の食事メニューが増えてきたためと考えられています。

大腸のなかでも直腸にできるがんが4〜5割を占め、次いでS状結腸がんが約3割。
大腸がんになるのは男性の方が女性よりも多く、年齢的には60歳前後がピークですが、最近は40〜50代でも多くなっています。
最初は「紙に血がついた」「血便が出た」などの症状が見られます。
また、直腸がんではトイレに行っても便が少ししか出ず、しばらくするとまた便意をもよおすという症状が特徴的に見られます。

痔と決定的に異なるのは、痔は出血量が多いですが、大腸がんは便に血がつく程度。
ただ、大きな痔核、脱肛などと直腸がんを併発しているケースもあります。
直腸から出血した場合、血は明るい赤色をしているため痔と間違えやすいのです。
「あやしい」と思ったら、迷わず専門医の検査を受けましよう。

大腸ポリープ

大腸の粘膜の一部が、腫瘍状に隆起する病気。
大腸がんの「芽」になるといわれています。
自覚症状でもっとも多いのは血便です。
ポリープのうち腫瘍性の大腸腺腫は、大きなものでは肛門から出血することも。
無症状のことが多いのですが、有茎性とよばれる大きいタイプの大腸腺腫は鮮血便といった症状が出ます。

クローン病

口から肛門までの消化管に、潰瘍ができたり線維化した肉芽腫ができたりする原因不明の病気。
「痔ろう」や「ろう孔」(消化管および他の部位に穴があいてしまった状態)ができることもあります。
主な症状は腹痛や下痢、発熱などで、20〜30代での発症が多いです。

 

スキンタグ(皮膚痔)

肛門の周囲の皮膚にできた腫れがひいた後にたるみができたもの。
他の痔に伴ってできることが多いです。

尖圭コンジローム

性行為の時にウイルスが感染して、肛門内や肛門周囲の皮膚にイボが多数生じたもの。
軟膏や外科的切除を行いますが再発することも多いです。

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