企業健診は、企業側（事業者）が働く人たちに対して受けさせるものであり、労働安全衛生法によって義務付けられています。

従業員の健康状態は経営に大きく影響を及ぼす可能性があるため、全員の受診を徹底することが必要です。ルーティンワークとして行うのではなく、常に現場の状況に合わせて適切な健康診断を行うようにしましょう。

健診は、「一般健康診断」と「特殊健康診断」の二つに分けることができます。

①一般健康診断

一般健康診断は、「雇入れ時の健康診断」「定期健康診断」「特定業務従事者の健康診断」「海外派遣労働者の健康診断」などがあります。また、長時間労働者のための健康診断もあるため、漏れなく受けるようにしましょう。

なお、必ず実施すべき検査項目としては次のようなものがあります。

・既往歴および業務歴の調査

・自覚症状および他覚症状の調査

・身長、体重、BMI、腹囲、視力検査、聴力検査

・胸部X線検査および喀痰（かくたん）検査

・血圧測定

・尿検査（糖および蛋白の有無）

・貧血検査：赤血球数、血色素数

・肝機能検査

・脂質検査

・血糖検査

・心電図検査

②特定業務従事者の健康診断

深夜業などの特定業務に従事する労働者に対して、定期的に健診を実施する必要があります。実施すべき項目は一般の健康診断と同じです。

なお、特定業務従事者の健康診断は以下の業務に従事する人が受ける必要があります。

・多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務

・多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務

・ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務

・土石、獣毛等のじんあいまたは粉末を著しく飛散する場所における業務

・異常気圧下における業務

・さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

・重量物の取り扱い等重激な業務

・ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

・坑内における業務

・深夜業を含む業務

・水銀、砒素、黄りん、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

・鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、フッ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準じる有害物のガス、蒸気、または粉じんを発散する場所における業務

・病原体によって汚染の恐れが著しい業務

・その他厚生労働大臣が定める業務

定期的に行われる健康診断は、客観的（数値的）に自分のことを見るチャンスです。自分の健康状態を正確に把握することで、治療や改善が必要な場合には無理なく継続的な提案をしてもらえることがありますので、できるだけ「いつも通りの状態」で受けるようにしましょう。稀に、健康診断の前にお酒を控えたり運動して、健康診断が終わったらいつも通りの生活に戻す人がいますが、あまりオススメしません。

当院では、企業健診（雇入れ時など）を受け入れております。企業単位で受けられる場合には、診断項目などを選択していただくことも可能ですので、事前にご相談ください。